ウェブ標準化のビジネス価値

by Jeffrey Veen, 2003年9月18日
翻訳:NobuyaSato, 2003年10月20日

私はウェブの標準化コミュニティに、ウェブで仕事をしてきたと同じぐらいの長い期間係わってきました。そしてW3Cの勧告に準じてデザインするコトが正しいことだとずっと感じていました。adaptivepath.comのサイトのリデザインを行なうことになったとき、共同経営者たちは、標準化の視点でプロジェクトにアプローチすべきだと同意してくれました。しかし開始する前に、その努力が、~そしてこれは非常に多くの努力を要しましたが~、本当に価値あるものかを議論しました。

たしかにリデザインはウェブ標準化信教者としての私たちの信用度を上げました。しかし業界的な称賛は措いておいて、私たちのような個々のビジネスで規格統一がどれほど重要なのでしょうか?ウェブ標準化は組織に投資利益率があるのでしょうか?XHTMLやCSSへの移管は財務的に意味があるのでしょうか?これらの質問の答えはイエスです。

スピード開発

HTMLページの作成の気軽さはウェブの成長にとって確実に利点でしたが、呪いでもありました。なぜなら(HTMLは)擬似コードによるシステムを許容しプログラミングの世界に数え切れないほどのベストプラクティス(裏技)を生み出すほど非常に寛大だったからです。

そのため私たちのクライアントの多くが、可能な限りより多くのユーザーに対して完璧なデザインの提供を試みようと、いくつものバージョンのサイトを構築してきました。しかし私たちのadaptivepath.comのサイトには、ひとつのHTMLページセット、ひとつのスタイルシート、そして、より少ない開発作業を望んでいました。Adaptive Pathの95%以上のオーディエンスが今では標準仕様ブラウザーでサイトを訪れていたので、切り替えるなら今だと感じていました。

ウェブ標準化はエラーチェックを強制します。どのバージョンのHTML(あるいは、XMLを)使っているかを宣言するだけで、それらの仕様に対してあなたのページを検証してくれます。検証がHTMLをスクリプト言語のようなものに変えてくれるのです。

ページをValidatorに通すことでエラーがどこにあるかを正確に把握できます。これによってデベロッパーがQAに掛ける時間を削減し、そしてブラウザー間での一貫性が驚くほど提供されます。現状のブラウザーはレンダリングにまだバグがありますが、これは5年前のそれと比べれば随分ましなものです。

メンテナンスの簡略化、オポチュニティの増加

長い間、標準化コミュニティはコンテンツからヴィジュアルデザインを切り離しながら論理的に各ページを関連付けできる美徳を絶賛してきました。これはあなたのHTMLがばかげたほどシンプルなものになることを意味します。ほとんどのXHTMLページは、強力なCSSファイルへのポインターのあるセマンティックに高度な<div><p>タグの集まりでしかないからです。

この見事な分離はあなたのページ開発とメンテナンス作業を楽にしてくれます。なぜなら、この区分けは一般的な開発チームのデザイン作業と編集作業の区別に相当するからです。

最近、私たちはクライアントのためにCSSファイルを開発用サーバにホストしていましたが、それは彼らがコンテンツとバックエンドシステムの制作を行っている間でした。私たちがデザイン作業を繰り返し続けている間、私たちは彼らのバージョン管理システムに統合することなく私たちのファイルを簡単に編集することが可能でした。平行作業を進めることで、私たちはドラマティックに出荷時間を短縮できました。

開発のスピード化は競争力と財務的なアドバンテージです。開発期間の短縮は費用の削減だけでなく、リソースを早期に自由にすることであり、それによって機会がますます増えるのです。

アクセス・オプションの拡大

クリーンなコードにはまだおまけがあります。CSS標準仕様の実装を行っていないブラウザーは簡単にスタイル定義を無視することができるのです。言い換えると、携帯電話、PDA、音声インターフェースやスクリーン・リーダーなどのnon-traditonalなクライアントや、もっとも基本的なタグセットをサポートしているものであれば何でも、セマンティックなXHTMLマークアップをレンダリングすることが可能ということです。

単純化を目的にコーディングされた標準化仕様のサイトは、モバイル・アクセス、アクセシビリティ 508条、そして過去のバージョンのブラウザーとの互換性の問題なども解決します。

以上の問題を解決しさらに開発とメンテナンスがより簡単になる?まさにそうなのです。なおかつ、ハードに掛かる費用もプロセスの中で削減することが可能です。

バンド幅費用の削減

ホームページからフォントやテーブル、デザイン要素のための小さな画像を取り除いてみると、20.9Kから9.2Kにソースコードのサイズが削減されました。これは大したこのように思わないかもしれません、サイトのトラフィックが多い場合としたらかなりの総数になります。

バンド幅の使用量56%削減など1日のページビューが数千程度のサイトには意味のないことかもしれません、しかし大規模なコマーシャルサイトであればものの数分でこれぐらいのトラフィックになります。ほとんどのポピュラーサイトであればときに1日数百万ページビューになります。

各ページビューを30Kから40Kを抑えることで、~かつキャッシュされるため2度とダウンロードしなくて済むスタイルシートによって~、毎月数千ドル節約できるのです。IT部門の担当者が新しいデザインについて興奮する様を見たことがありますか?それが見れるのです。

ユーザーエクスペリエンスの向上

冷たい固形の硬貨(効果)の量を定めるは簡単です。しかし、コードをスリム化するのは他にも恩恵があります。それは、より速い、よりライブなサイトほど、ほぼ間違いなく(その効果は)全体的なより良いユーザーエクスペリエンスに転換されることです。

巨大なインターフェースをモデム接続で辛抱強く絞り出すことは、ウェブ創世からの悩みのたねでした。増え続けるブロードバンドの優位性は大して助けになっていません。(なぜなら)ビジネスで移動先のホテルの電話回線に接続されたラップトップからのリンクこそ、(企業 とっては)希薄な新規顧客かもしれないからです。クリーンな標準化コードを適用することで、あなたのサイトは、彼らが目的を達成させるために必要なショートカットを提供できるのです。

切り替えの正当化

標準に移行するためのROIを判断するような公式はありません、しかし財務的な理由付けはあります。「クールなサイトがやっていることだから」というのがXHTMLとCSSへの切り替えの議論をするときのたったひとつの点であってはならないのです

標準化の経済的恩恵は有形です。一度それを定めることができれば、ビジネスは、相互参照コンテンツを自由に共有できるというウェブの真価に気付き始めるでしょう。

ジェフリー・ビーンはAdaptive Pathのパートナーです。 彼の専門性は「革新的なウェブデザイン・テクニック」です。詳しくは彼の個人サイトVeen.comをご覧下さい。

NobuyaSato — 2004年01月04日 09:11